マタニティ・ヨーガ
マタニティ・ヨーガ

 水泳、エアロビクス、アクア・ヨーガなど数あるマタニティ・エクササイズの中でも、昨今ヨーガが注目されているのは、それが東洋思想に基づいた柔らかい動きの運動だからでしょう。さらにお産に重要な呼吸法、リラックス法はヨーガには欠かせない要素です。

 ヨーガは、ゆっくりとした動作と静止したポーズから成り立っています。ポーズをとりながら筋肉をていねいに伸ばすことによって筋肉を柔軟にし、骨盤や骨格を整えます。さらに呼吸法、リラックス法、瞑想などを行い、からだばかりでなく心も整えていきます。

 一般にスポーツは、からだを鍛えエネルギーを消耗するということに重きがおかれています。人と競う、あるいはいかにうまくやるかという要素が強く、一定の目標に達することを目的としています。これはたぶんに西洋的で合理的。男性的な発想からきている。一方ヨーガは人と競うものではなく、早い上達が望まれるものでもありません。あえて最終目標を上げるとすればそれは「悟り」とでも言えるでしょうか。なんともだいそれたことと思われるかもしれないけれど、要は心の平安ということです。自分の内面を見つめるこの東洋思想は、不合理で女性的です。

 ヨーガというのは、一般に体操と捕えられていることが多いのだけれど、実際は心を平安にして「悟り」に向かうための自己鍛練の方法、精神修行のことなのです。そこにはいくつもの方法があり、体操と呼吸法を行うヨーガはその中のハタ・ヨーガと呼ばれているひとつのジャンルに過ぎません。ほかにも瞑想を中心にしたラージャ・ヨーガ、祈りをするバクティ・ヨーガ、マントラ(お経のような言葉)を唱えるマントラ・ヨーガ、奉仕するカルマ・ヨーガなどいろいろとあります。だから、とくにハタ・ヨーガをしなくても、祈りや瞑想をして、奉仕的精神をもって日々の生活を送っていればたぶんにヨーガ的生き方をしているということになります。